夏 バイト

準備が終われば、花火を上げているときはそれほどする仕事はない。花火を実際に上げるのは専門の人達の仕事なので、バイトにはせいぜい必要に応じて荷物運びをするぐらいだろう。しかし一般人が入れないような場所から、花火を上げている様子を見ることができるのは、あまりない貴重な経験だ。あまりに音が近いので耳がおかしくなりそうだったが、仕事中なら耳を塞いでいる余裕はない。休憩中に実際に花火を見るには、花火はすぐ真上で上がっているので、平地に寝転がって見ないと首が痛くなる。こんなに間近で見れる花火もそうそうないので最高だった。近くで見れる分には最高だが、上空から上がった後の花火の粉が降ってくるので、ときどき体に付くとひりひりと熱い。仕事でかかった時間に比べれば、花火の時間はなんて短いんだと思ってしまう。
花火が終わってからは真っ暗な中で準備した砲台を取り外していき、トラックに運んで行かなければならない。半日かかった準備に比べたら、これは一瞬とも言っていいだろう。
これまでに一年の夏に3回だけこのバイトをしたが、あれ以来花火を見るたびにバイトのときのことを思い出す。今年見る花火も誰かが1日がかりで汗水たらして準備したものなのだろうか。